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作陶の工程を順を追ってご説明いたします。体験前のご参考になさってください。

粘土の採取、精製  

saisyu.jpg粘土を採取し、不純物を取り除きます。
 犬山焼の土は、太古の昔に湖の底に沈殿した泥の地層から採取します。犬山の粘土層の厚みは2mほどで、瀬戸市のほうまで広がっています。実は犬山焼の土は”せともの”と兄弟なのです。写真は色土層の採取現場ですが、商品に使う土は白くてきめ細かい土です。
 採取した粘土は、水に溶かして濾して不純物を取り除きます。
 教室で普段使用する土は、作りやすいように配合された陶芸用の土です。犬山で採取できる良質の土は現在大変に貴重なものとなっておりますので、体験採取は色土となります。

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練土  

rendo.jpg練って空気を抜き、成形の準備をします。
 何百回と練って、土に含まれた空気を押し出していきます。この工程で手を抜くと、窯に入れて焼くときに割れてしまいます。昔は練土を手で行っていましたので大変な重労働でした。今は作業の一部を機械がやってくれますので楽ちん。とはいえ、色味の調整や均質さなどの見極めには職人技が必要です。
 練土は、手でやるにはかなりの練習と経験が必要となります。使える粘土が作れるようになるためには、教室にかなり通っていただいて、練土の修業ばかりをしていただくことになります(笑)
 もちろん、教室では練土済みの粘土をお渡ししますので、ご安心を。

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成形(電動ろくろ、手びねり)  

seikei.jpgいろいろな方法で形を作っていきます。
 おなじみのろくろなどを使い、形を作っていきます。様々な道具を使いこなせば、指が入らないような細い首や、深いとっくりなども作れます。逆に大瓶などの場合は腕全体を使うことも。
 電動ろくろでは、器用な方なら少し慣れればそれらしい形が作れるようになります。
 手びねりと言って、図工のときに使った油粘土のように手で形を整えていく方法もあります。初心者向けと思われがちですが、それがなかなか、味わい深い形となります。
 焼くと15%ほど小さくなるので、それを見越して大きめに作ります。

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削り仕上げ  

kezuri.jpg生地が落ち着いたら削って整えます。
 うつわの土台となる高台や、削りによる造形が適している箇所を削っていきます。ここまで来ると、削ることはできても盛ることはできないので、慎重に行います。厚みの極端なばらつきや薄くなりすぎると、焼成時に割れてしまうので、腕の見せ所です。
 削り終えたら名前などの刻印を施します。作った日付を入れていただくと、いい思い出になりますよ。

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乾燥  

kansou.jpg白くなるまで2週間以上乾燥させます。
 静かにおいておくだけですが、必ず必要な工程です。乾燥させないで素焼きすると、水分が邪魔をしてうまく焼きあがりません。
 素焼きの前までなら、粘土は水に溶かして練土の工程をやり直せば再利用できます。作ってはみたものの気に入らない作品は、リサイクル用バケツ行き~。

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素焼き  

suyaki.jpg絵付け前に素焼きをします。
 白くなるまで作品が乾燥したら、一度800度程度の中温で焼きます。高温にさらされた粘土は化学反応をおこし、固く焼結して粘土ではなくなります。素焼きをすると水で溶けなくなり、絵付けができるようになります。
 素焼きしたものを爪ではじくと、カンカンと甲高い音を立てるようになり、変質したことがうかがえます。

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染付(下絵付け)  

etsuke.jpg絵具で絵をつけます。
 焼き物の絵付けは画用紙に書くようにはいきません。重ね塗りは極力避けなければなりませんし、色の強さにより色を付けていく順番が決まっています。色によって筆の走りもちがいます。さらに、焼き上がりの色合いは、絵付けの時の絵具の色にはなりません。思い通りに描くには知識と経験が必要な世界なのです。
 犬山焼は、他と比べても非常に色彩に富んだ焼き物です。同じように多くの色彩に富む窯は、京都と九州の一部に限られます。
 昔は絵具の調合も職人技でしたが、現代では、絵具はいくらでも買うことができます。しかし、その絵付けの正しい技法を教えられるのは、実は一部の陶房に限られているのが現状です。
 教室では、常時10色の絵具をお使いいただけます。

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施釉  

seyuu.jpg釉薬をかけます。
 高温にさらされるとガラスになる釉薬(うわぐすり)をかけます。釉薬をかける理由は、美しさはもちろんのこと、ガラスでコーティングすることで、素焼きの生地にあいている細かな穴を埋めて水が入り込みにくいようにし、耐久性を上げるためでもあります。様々な色の釉薬があり、描いた絵が一番映えるものを選びます。
 萩焼のように、絵具で絵を描かず釉薬だけでデザインする手法もあります。釉薬のかけ方一つで作品の表情が大きく変わります。
 90分コースと1日体験コースでは、成形した作品に釉薬だけで表情をつけていくことになります。いろいろな釉薬がありますので、サンプルの中からお好みのものをご指定下さい。

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本焼き  

honyaki.jpgいよいよ本焼き。
 1200度以上の高温で釉薬をガラスに変化させます。いろいろな焼き方があり、酸素を不足させる還元焼成をやるのか十分な酸素を入れる酸化焼成をやるのかで、釉薬や絵具の焼き上がりの色が変わります。
 ガラス質に変わった釉薬には、貫入という細かいひび割れが入り、作品の表情に深みを与えます。炎のあたり方などと相まって、どんな焼き上がりになるかは神のみぞ知るところです。
 当陶房では月に1回から2回程度の頻度で窯に火を入れます。昔の薪を使う登り窯では、1回焼くのに8畳の部屋3つ分の薪が必要だったため、1年に1回程度しか焼けなかったようです。
 当陶房では、ガス窯と灯油窯の2種類の窯があります。それぞれ焼き上がりが微妙に違います。

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上絵付  

_NowPrinting.jpgこだわりの作品にはさらに絵をつけます。
 本焼きした作品にはさらに絵を描くことができ、それを上絵付といいます。ここからはスペシャルな工程となります。
 普段使いの焼き物には施しませんが、こだわった作品を作るときは上絵付けをする場合があります。
 上絵付により、繊細な表現や、金などの豪華な装飾が可能となります。犬山焼の真骨頂です。

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焼き付け(錦窯)  

_NowPrinting.jpg上絵付を焼いて定着させます。
 焼き付けの中でも、特に金を焼き付けることを錦窯と言います。作家によっては何十回と上絵付を繰り返す方もいます。
一回の本焼きにすべてを込めるのも、上絵付を繰り返すのも、どちらも陶芸家としての魂の込め方です。正解はありません。
 昔は、窯に火を入れるには陶芸作家一代で山を一つはげ山にしてしまうほど薪を大量に消費していたため、そう何度も焼けるものではありませんでした。現在でも燃料には相当なコストがかかりますが、何度も上絵付を焼くことができる我々は、恵まれた時代にいるといえます。

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完成!

kansei.jpg冷めるのを待って、窯から出したら完成です。
 冷めないうちに窯の蓋をあけてしまうと、作品が割れてしまいます。じっくりと冷やしてから窯から出します。
 長い長い工程を経て、ようやく完成しました。作品に焼き付けられた思い出は消えることはありません。
 当陶房で作っていただいた作品を末永くご愛用いただければ幸いです。

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ロゴマーク桜有.png


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