■赤画師道平■
犬山焼の赤絵といえば、直ちに道平を思い浮かべる程
犬山焼陶器史のうえでは忘れる事の出来ない人物であるが
その人となりについては全く知られていない。
天保初年、春日井群上志段味村から招かれて
丸山窯復興に参画した松原惣兵衛が懇意であったが
名古屋伝馬町の筆商の紹介で天保六年(1835)
道平を犬山に招いた。
道平は加藤清蔵・松原惣兵衛の丸山窯に加わって
その画才を大いに奮った。
本名を逸兵衛といい、号を道兵と称したらしい。
またどこでどのようにして陶画を習得したのかも詳らかではない。
しかしその筆風は奔放自在で、明代呉州赤絵の真髄を写し得て妙であり
京都の奥田頴川と並び称される名手であった。
惣兵衛とともに呉巣赤絵を写し、城主の好みにより
春秋に因んで桜と紅葉の雲錦模様を絵付け
また犬山八景を酒器などに描いたのも道平が最初であった。
作品は数多く残されいるが、款・銘のあるものはほとんど無い。
惣兵衛が寺杜へ奉納した清蔵・惣兵衛との合作品に
わずかに道平の銘を見るに過ぎない。